夏かぜと冬のかぜは違うの?

#23. 夏かぜと冬のかぜは違うの?

Q

例年クーラーの利き過ぎた部屋で寝てよくかぜをひいてしまうのですが、治療法も含めて冬のかぜとは違うところが有るのでしょうか?

A

 

かぜの医学的表現は、「急性ウイルス性上気道炎」

 かぜの医学的表現は、「急性ウイルス性上気道炎」で、ウイルスが感染したことによって急に発症した、発熱、鼻水、喉の痛みなどが出現する病気を意味します。ただし「胃腸かぜ」といって急性のウイルス性胃腸炎も広い意味でかぜと表現する場合もあります。 

 

かぜの原因ウイルスは200種以上  夏と冬では種類が異なる

 かぜの原因となるウイルスは200種以上もあると言われていますが、一般に低温で乾燥した環境を好みます。その典型が冬のかぜの原因となるコロナウイルスやRSウイルス、ライノウィルスあるいは通常の風邪とは異なりますがインフルエンザウイルスなどです。コロナウイルスは、風邪の原因の10~15%を占め、SARS(重症急性呼吸器症候群)やMERS(中東呼吸器症候群)の病原体もこの仲間のウイルスです。急性中耳炎や喘息を増悪させたり、また乳幼児や免疫抑制のある人に気管支炎や肺炎を起こしたり、胃腸炎を起こすこともあります。RSウイルスは、乳児の細気管支炎・肺炎の原因としてよく見られるウイルスで、小児の間では急速に流行し、2歳までには大部分の子供がかかります。ライノウイルスは大人のカゼの原因の30~50%を占め、鼻かぜウイルスとも呼ばれ、特に春と秋に多く見られます。 

 

夏かぜの代表はエンテロウイルスやアデノウイルス

 これらに対して、一部のウイルスは高温多湿の環境を好み、夏に活動的になります。その代表がエンテロウイルスやアデノウイルスです。エンテロ(腸)、アデノ(喉)という名称が示すように、腹痛や下痢、喉の痛みなどが特徴的な症状です。エンテロウイルスはライノウイルスについでよく見られ、夏から秋にかけて多く発生します。子供の夏のカゼの代表的な手足口病やヘルパンギーナ(発熱と口腔粘膜の水疱性の発疹を特徴とした急性咽頭炎)を起こすコクサッキーウイルスもエンテロウイルスに属します。アデノウイルスは気道炎や胃腸炎、結膜炎、膀胱炎、発疹などの他に喉頭炎やクループ、肺炎などを起こす場合もあります。咽頭結膜熱は、プール熱の呼称もあり、流行性角結膜炎と共にアデノウイルス結膜炎と呼ばれます。 飛沫感染が多い冬のかぜに比べ夏かぜは経口感染が多く、手洗いやうがいを一層心がけ、ハンカチやタオルの使い回しを避ける必要があります。免疫力の低下も、夏かぜの原因の1つですので炎天下での活動、睡眠不足、夏バテによる食欲不振、エアコンによる冷え過ぎには注意しましょう。 

 

かぜの治療の基本は自然治癒力

 基本的にかぜのウイルスに対する薬というのはなく、治療はできるだけ睡眠を取り体力や免疫力を高め、自然に治るのを待つというのは冬のかぜと共通しています。

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